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2008年12月 4日 (木)

私の制作日記(19) 自然にまかせ、自然を生かす

  今朝、SMサイズの描きかけの絵に手を入れた。
 仕上がりの色のイメージに感じては、前回の制作時につかんだつもりなので、今朝はそれをイメージしてホワイトとイエローを画面の上で重ねた。
 ホワイト、イエローともに絵の具を水で溶く前にペインティングメディウム(※1)で溶いてから水を混ぜた。そうして出来た絵の具は、水分が多くサラサラした感じに。Seisaku081204
 それを制作中の画面に垂らすように、ポタポタのせて、筆ではなく指を使って感覚に任せて画面の上に延ばしていく。絵の具の密度が濃いところは白く、指で延ばして薄くなった部分は下の色が透けて見える感じ。その違いがおもしろいと感じた。
 さらに、先に塗ったホワイトが乾かないうちに、イエローをホワイトと同様にうすく溶き、ホワイトを塗った部分の上にポタポタと落としていく。そして再び指を使って流れをつくるように延ばす。
 次に画面を傾斜させてしばらく置いておくと、ホワイトとイエローが画面の上で自然に混じり合ってゆく。それは、まるで葉っぱの葉脈が成長過程で伸び広がっていくような感じで、自然の法則に則って形ができていく感じがする。このような素材自身に任せた制作というか、絵の具の特質、水の特質を生かした技法を最近よく使うようになった。
 描くという感覚よりも、生み出すという感覚に近い。そして、技法を使うというよりも、画面の上で如何に自然に見える造形を表すか、ということを考えて制作していると、技法は後からついてくるように最近思ってきた。私の場合、最近では、ZAO WOU-KIの作品を見て、「こんな感じが出したい」と強く影響を受けたが、どうやってそれを制作しているかは画集には解説していないので、自分なりに工夫するしかない。でも、レストランで気に入った味付けを家で再現するのと同様に、なんとなく調味料(色)や素材(絵の具)は分かるので、近い表現は工夫によって可能だ。でもそれは頭で考えていてもできないので、絵画の場合、実際の画面で試しながら描くことになる。

 今朝は、そうやって表現された自作を見て、陶芸家が作陶する時の姿勢に少し似ていると思った。
 以前、陶芸家の河合寛次郎氏が自身の作陶の際の心境をつづった著作を読んだ際に、「陶芸は炎との共作」というような意味の言葉があったのを思い出した。ようするに、陶芸家は土をひねって釉薬(ゆうやく、※2)をかけて、窯(かま)の中に入れる。そこから後は、釉薬がどのような色や形の変化を見せるかは、炎に任せるしかない――というわけだ。もちろん、長時間後に、炉から陶器を取り出すと、思いがけない出来映えの作品に仕上がっていることもあれば、思っていたイメージとはほど遠い失敗作もできる。
 京都には、河合寛次郎氏が作陶使っていた登り窯があり、氏の作品が展示されている「河合寛次郎記念館」があるので、京都に行かれる際に立ち寄られることをお勧めしたい。氏の深い精神性が、陶器、著作、書、彫刻などから伝わってくる至福の空間がそこに広がっているから。彼の元には、版画家の棟方志功氏が一時期滞在したことがあって、棟方氏の伝記によると、河合氏は同氏に作陶を教えただけではなくて、天理教の講話をして聴かせたということが載っていた。かなり信仰深い人だったようだ。
 最後に同館のウェブサイトに掲載されている彼の晩年の言葉(詩)を紹介させていただく。

「饗応不尽」

無数のつっかい棒で支えられている生命

時間の上を歩いている生命

自分に会いたい吾等

顧みればあらゆるものから歓待を受けている吾等

この世へお客様に招かれて来ている吾等

見つくせない程のもの

食べ切れないご馳走

このままが往生でなかったら

寂光浄土なんか何処にあるだろう

(昭和41年秋 河井寛次郎)

 小関 隆史

 2008年12月4日

【用語解説】
(※1) アクリル絵の具を水彩風に描く場合に使う溶剤、画面への定着力が強くなる
(※2) 陶磁器の、素地の表面に施すガラス質の溶液。焼成すると薄い層を成し、吸水を防ぎ、光沢を帯びて装飾を兼ねる。

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