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2008年12月16日 (火)

『舟越桂 ~語りかけるまなざし~』を観て(上)

Funakoshi_dvd  先日、『舟越桂 ~語りかけるまなざし~』という一人の彫刻家のドキュメンタリービデオを絵の仲間のchonさんから借りて観た。
 これはNHKの「新日曜美術館」で放映されたものを収録した製品(DVD)で、舟越桂氏の作品に何かしら心惹かれていた私にとっては、「どうしても観たい」と思える番組だった。舟越氏の作品が気になり出したのは、随分と前からで、確か美術雑誌に作品の写真が載っているのを見たのが最初だったと思う。特に強く心に残っているのは、彼の作品が『永遠の仔(こ)上下』(天童荒太著)というベストセラー推理小説の表紙に採用されたこと。非常にインパクトのある装幀の本だった。
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  期待に胸を膨らませて観始めた番組(ビデオ)は、収録された52分間ずっと画面から目が離せないほどに引きつけられるものだった。
  番組はまず、東京造形大学のキャンパスで舟越氏が、新たな彫刻作品の制作のために樹齢100年という楠(くすのき)をチェンソーで切り出すところから始まる。一人では抱えきれないほど幹が太い大樹だ。
「(楠は)色も温かい、匂いがいい、硬さも硬すぎず、柔らか過ぎず…」と舟越氏。
「木肌を生かし薄く彩色された作品は、具象彫刻の新しい可能性を広げると高い評価を受けてきた」とのナレーションが流れる。

 閑静な住宅街にある一軒家が舟越氏のアトリエ。番組はその中で一人で白い紙に向かって鉛筆で人物デッサンをする舟越氏を映し出す。
「その人がもっている(目鼻だちの)比例がその場所にないとでてこない。似顔絵とは違うけれど、その人があの場所に立っていた感じがどうしても欲しいので、ある程度似ていないと」「“この表情を作ろう”とは思わず、その人の全体を出そうと。そうすれば、その人の長く生きている時間を長くあらわしたことになるのかな、と思っています」(舟越氏)
「デッサンを重ね、何かをつかんだ時、木に向かいます」(ナレーション)

  ここで番組では、舟越氏の作品の中には、実在の人物をモデルにしたものがあることを紹介し、モデルの顔を出してのインタビューと実際に制作された作品を交互に映し出す。確かに似ているけれども、そっくりというわけではない。でも、モデルになった人たちは、それぞれ作品の中に“自分の何かを見出している”という感じがインタビューから伝わってきた。舟越氏の友人の一人で、作品のモデルにもなったことのある美術家の森村泰昌氏は、「このモデルを突き抜けて存在する何か」を舟越氏は表現しようとしているのではないかと語る。

 一口では表現できない舟越氏の彫刻の特徴が、自身の言葉やモデルの言葉によって次第に明らかにされていく過程が興味深かった。(つづく)

 小関 隆史 

 2008年12月16日

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