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2009年5月13日 (水)

目と目が合って…

 4月30日(木)の出勤時、いつものように駅までの歩道を歩いていると、大きな病院を建設中の現場の前にさしかかった。ふと、ゲートの前に立つ日に焼けた警備員さんと目が合った。「おはようございます。ご苦労様です」との言葉が口から自然に出た。すると、六十代と思しき彼は、通り過ぎようとする私に、「おはようございます。これから挨拶しますね」と言って、きちっと私の方を向いて、しわがれた大きな声で、「いってらしゃい!」と言ってくれた。たったこれだけの触れあいだったけれど、なんともいえない清々しい気持ちが胸に広がった。目が合った瞬間の0コンマ何秒という間に、彼と私は互いの目を見て、信頼し合えたのだと思う。
 ゴールデンウィークが終わって初出勤となった5月8日、再び工事現場の前を通りかかり、ゲートに立つ彼にまた、「おはようございます。ご苦労さまです。今日から出勤ですか?」と声をかけた。「いえ、昨日からやってます」と彼。真っ黒に日焼けした顔に、人懐っこそうな笑顔。ギョロリとした大きな目の白い部分が際だって見える。
 翌日、やはりその現場が前方に見えてきた時、その警備員さんは、まさに捜していた人でも見つけたようにニコニコしながら私に駆け寄ってきて、「私の正体を明かします。こういうものです」と1枚の白い名刺を差し出してくれた。
 その名刺には、「御霊山 釈迦成道院 ○○○○」と書かれていて、ちょっと驚いた。「ボウズをやってます」というのだ。「ええっ」と上体を起こして相手の顔を見た私は、「私も似たようなものです」と言って、自分の名刺を差し出した。
 聞けば、この警備員のNさんは、自宅の一室を寺として開放する僧侶で、平日は警備員として働いているという。奥さんは尼さんで、信者は60人だとも。こう言うと変なカルトの教祖を想像させるかも知れないが、なんとなく安心できる人だし、私に何かを感じてうち明けてくれたのだろうと思った。
 翌日、トラックを誘導したり、忙しいそうに動き回っていた彼は、私を見つけ、「小関さん」と親しく名前を呼んで、私との出会いを喜んでくれた。私も、「お互いに」と言ってほほえんだ。
 神はいろんな人の姿を通して現れる。いや、神はどんな人の中にも宿っているのだ。
 そんなことをつくづく感じた今度の出会いだった。

 小関 隆史

 2009年5月13日

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