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2011年2月22日 (火)

“戦略ストーリー”について(4) 〜アートとしての戦略

 戦略に関する楠木健氏の説明の中で、次の一節を読んで目を見開かされた思いがした。

「戦略とはストーリーであり、その企業の固有の文脈に埋め込まれた特殊解であり、サイエンスというよりアートに属するものです。だとすれば、優れた戦略を構築するために必要なのは、スキルよりもセンスです」(『週刊 東洋経済』2011/1/18P58

 これを私なりに解説すると、戦略を立てるヒントというものは、各企業(事業)の中に隠されている固有のものであるということ。その戦略の核となりキラーパスとなるを見出すにはセンス(感性)が必要であるということだ。物事の本質を直感的に見抜く力と言ってもいいだろう。それは、芸術家が最も得意とするところだ。そのあたりのことが、楠木氏が一番言いたいことではないか、と思う。
 要するに、戦略を立てるには理系よりも文系ないしは美術系の思考回路の方が適している、ということだろう。私はこれまで逆だと思い、自分には不向きだと思い込んでいた。でも、それは間違いだったということは、前回のシリーズ(3)で自分の戦略ストーリーを描いてみて、よく分かった。やはり最初に核の部分のイメージが描けることがとても重要で、あるべき姿が見えていれば戦略は描けるのだ。私の場合は、すべての活動が集約する絵本を制作するということを、自分の戦略の軸としたが、それは論理で導き出したというよりも、ひらめきの部分が大きい。

 楠木氏は、冒頭で紹介した文章に続いて次のように語っている。

『自分にとっての「面白さ」を大切にする。人の作った戦略ストーリーを読解するときも、自分のストーリーのラフなドラフトを作るときも、まずは「自分にとって面白いかどうか」に軸足を置くべきです。
 自分で心の底から面白いと思っていれば、努力が苦になりません。自然とのめり込みます。自分で面白くて仕方がないような戦略ストーリーであれば、何度でも自然に人に伝え、共有したくなります』(同書P58

 昨日、たまたま手にした月刊誌『プレジデント』(2011/3/7号)にソフトバンクの孫正義社長と脳科学者の茂木健一郎氏の対談が載っていた。そこにも、イメージを描くことの重要性が双方の視点から語られていて参考になった。
 孫氏曰く、『先日、ソフトバンクの今後30年間の経営方針となる「新30年ビジョン」を発表しましたが、そのときもまずやったのは、「30年後の未来ってどんなだろう」と想像することでした。30年後の街並み、オフィス、自宅のリビングで最新のデバイスを持っている自分の姿。「こんな素晴らしい未来がきた!」って一人、喜んでいました。(中略)これがもし「いまできることから始めましょう」なんてやっていたら、到達する前に諦めてしまっているでしょうね』(同書P30)。

 これは、いわゆる「バックキャスティング」と言われる考え方だ。先に「あるべき姿」を描いて、その実現のためのステップを考える手法。現状からどうするかを考えると、さまざまな障壁が見えてきて、嫌になってなかなか思考が進まない。孫氏のように、ステキな未来を想像して喜び、その喜びのエネルギーをドライビングエンジン(原動力)として困難を乗り越える。実に合理的でもある。
 さらに孫氏は、『最初は右脳を使って思う存分、成功のイメージをつかみますが、その次の段階では、そのイメージを実現するための具体策を左脳で翻訳していくんです。「この未来を実現するためにはどうすればいいか」と。そこからはもう、完全に論理の世界です』。
 右脳でイメージを描いて、左脳で論理的に詰めていく。そんな構図だ。

 まず現状は無視して、あるべき理想の姿を徹底して描き切る。これが戦略ストーリーを作る大きなポイントだと思う。

 小関 隆史

 2011年2月22

【参考資料】
『週刊 東洋経済』(2011/1/8号)「特集 ストーリーで戦略を作ろう」
『プレジデント』(2011/3/7号)「成功する脳習慣とは何か」孫正義VS茂木健一郎

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