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2015年1月11日 (日)

いのちの表現としての芸術について考える(後半)

【今朝のごあいさつ 〜2015年1月11日】

 おはようございます。
 今朝も引き続き、このテーマで書きたいと思います。
 谷口雅春大聖師は、先達の書を真似たり、直筆で学ぶことにより、美的感覚を養った上で、さらに、自分の生命が躍動した“書”を書くためには、「書法にかないながら書法を破るようにならなければならない」と説いています。
 その例として、江戸時代の歌舞伎役者で名優の藤十郎が、舞台の台本を暗記するほど何回も何回も朗読して覚えてしまい、本当に舞台に立った時には、まったくセリフのことを忘れてしまって、相手の仕掛けてくる対話や態度に対して、おのずから出る仕草やセリフで応対する。そこに自然さが表れると皆に教えていたことを紹介しています。
 その丸暗記するというのが、書においては、手本を見て習字をするということであり、セリフを忘れて自然にでてくる動きに従うというのは、書法を身につけていながら、それを忘れて自然そのままになって筆を運ぶことである。そこに、書法にかないながら、書法に縛られない書が創造されるのであると説いています。
 そしてそこには、「本当の何物にも縛られない生命の流露が、その“書”の一点一画にあらわれる。一点一画に、久遠の生命が感じられることになる。“今即久遠”“一点一画即無限”ーーそのような芸術の完成が書道の極意かと思うのであります」と示しています。
 すごいですね。私は、この言葉にしびれます。この境地に憧れます。
 この“今即久遠”“一点一画即無限”というのは、書道だけでなく、私たちの人生そのものの意義を端的に示しているように思うのです。
 つまり、私たちの日常の一挙手一投足の中に無限が展開し、無限の発露が一挙手一投足となる。見た目は変わらないように見えるかもしれないけれど、その心境如何によって深みが全然異なる生き方ができるのです。
 セリフというのは表層の部分であり、感情や実感というのはその奥から出てくるものです。奥には、その人の個性があり、人間の普遍性(美的感性を含む)ともつながっている。だから、奥の奥から出て来た表現は共感をよぶのですね。感動を与えることができる。意識しないでも現れてくるものが自然だからです。
 しかも、それが、訓練によって会得した腕や指先などの自由自在性によって表現されるとき、至高の芸術が誕生するのでありましょう。
 
 谷口師は、講話の最後に、剣聖・宮本武蔵の手による絵画の作品展を鑑賞した際に、『大自然の「無限」が一幅の絵のうちに感じられる』体験を得たとして、次のエピソードを紹介しています。
 ある時、宮本武蔵は、細川候という殿様の目の前で、絵を書いてほしいと頼まれ、書き始めたが、どうしたものか思うように筆が運ばなかった。帰宅してからもそのことに心がひっかかって眠れなかった。ようやく明け方になってひらめいたのは、自分は細川候の前だから上手に書こうと「構える心」を起こしたために手が自由自在に動かなかったのだと。この「構える心」を捨てなければならない、と悟ったというのです。
 そうして武蔵は、剣において独自の“無構えの構え”を創出したのです。
 谷口師は、「“構える心”があるときには必ず構えない面ができて、そこに隙(すき)ができるのである。本当にその人が無構えになったとき、その人は、八方正面になって天地四方自由自在に動けるようになるのであります」と解説しています。
 芸術の創作でも、仕事や日常生活でも、常にこの無構え、つまり、何物にもとらわれないニュートラルな心から動き出したいものですね。
 こう言う私も、感情が揺れ動いてしまうときがあるので、反省し、明るい想念で祈りつつ、朝々を新しい気持ちで出発したいと願っています。
 皆様も、どうぞ、お元気で!
【参考資料】
○『谷口雅春墨滴集』(谷口恵美子精選、日本教文社刊、平成5年初版)
http://www.kyobunsha.co.jp/shopping/books/ISBN4-531-05165-3.html

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