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2015年1月 8日 (木)

絵本の持つ力 〜聴覚と視覚にダイレクトに伝える

【今朝のごあいさつ 〜2015年1月8日】

 おはようございます。
 今朝は、最近、読み始めた『宗教・いのち・国家 島薗進対談集』の中から、上智大学神学部特任教授の島薗進さんと、ノンフィクション作家の柳田邦男さんの対談の中で、とても感動したエピソードをご紹介します。
 柳田さんがかつて取材した、ある幼い3人の子を持つ母親が、「本当の癒やし」について目覚めた話です。(同書21〜23ページ) 
 ある日、その母親の2歳8カ月になる3番目の子供がインフルエンザ脳症にかかって脳死状態になり、非常に苦悩しながら「この子をなんとか助けてほしい」と神に祈った。が、医者からは、「あと数日の命でしょう」と告げられる。母親は、ショックを受け、上の2人の子供(小学2年生の女の子と6歳の男の子)に、弟の死をどうやって分からせたらいいのか悩み、医師に相談した。すると、その医師は、いろいろ考えた末に『わすれられない おくりもの』というイギリスの絵本を持ってきて、ベッドサイドで、2人の子供にゆっくりと読み聞かせたのです。
 その絵本は、年老いたアナグマが旅立っていく話で、その臨終の場面で、「心は生きているので死は怖くはありませんでした」という一節があり、アナグマは恐怖なく天国に行ったというのです。でも、残された動物村の動物たちは大変なショックで暗い冬を迎える。ところが、春が来て、再びみんなが集まると、誰からともなく、アナグマの思い出話をして心が温かくなってきた。アナグマは「あれも教えてくれた」「これも教えてくれた」というように。そして、「アナグマさん、ありがとう」と感謝の言葉も出て来た。アナグマの心はみんなの中に生きている、というお話です。
 それを読み終わった後、医師が、子供たちに、「わかるよね、きみたち。もうすぐ良太くんはあの世に行くけれど、苦しんでいくわけじゃない。あのアナグマさんのように天国に行くけれど、みんなの心の中にいつまでも良太くんのことは残るよね」と語りかけると、二人は目に涙をいっぱいためて、こっくりとうなずいたというのです。
 それまでは、「はやく(弟を)家に連れて帰ろうよ」と言ったり、ベッドで横になっている弟とおもちゃで遊ぼうとしたりして、まったく脳死の状態を受け入れられなかったのが、その3日後に弟がなくなった時には、お母さんに教わって、二人は弟をしっかりと抱きしめて別れを告げたというのです。
 柳田さんは、この話をその母親から聞いて、「絵本を読み聞かせすることが、死別ということを幼い子どもに受け入れさせる役割をするのか、とたいへん感動しました」と語っています。
 さらに、その母親も精神的に成長していく。当初は、喪失感から悲しんでいたけれど、息子の死を通して、本質的なことを考え始めるようになり、「つらくて苦しんで必死にもがくような中でも生きる力をつけていくことが本当の癒しだ」と気がつくのですね。
 私は、このくだりを読んで、「絵本」という「物語の持つ力」をまざまざと見せつけられた思いがしました。大切な人の死を真正面から、しかもすぐに受け止めることは、大人でも難しいことかもしれません。でも、心が柔軟で想像力が豊かな幼い子供たちだからこそ、聴覚と視覚によってダイレクトに伝わったのではないかと思いました。
 
 物語(ストーリー)の持つ力ーーそれは個人の、社会の未来を切り開くキーワードのような気がします。なぜなら、そこには明確なビジョンがあるからです。
 あなたの「物語力」に磨きをかけてみませんか?
 今日も、どうぞ、お元気で!
 
【参考資料】
○『宗教・いのち・国家 島薗進対談集』(島薗進著、平凡社刊、2014年10月24日初版)

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