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2015年1月24日 (土)

真理は二つの中心をもつ楕円

【今朝のごあいさつ 〜2015年1月24日】
 おはようございます。
 1月22日の朝のごあいさつで、日本のホスピス(終末期医療)の草分け的な存在である柏木哲夫さんと島薗進さんの対談の話を紹介しましたが、その中で、柏木さんが、「無教会」という日本独自のキリスト教信仰のあり方を生み出した内村鑑三の言葉を引用しているところがあるのですね。興味深い内容でしたので、引用します。

 『内村鑑三が、真理は一つの中心を持つ円ではなくて二つの中心を持つ楕円であるというかなり有名な言葉を残していて、これはいろいろなところに応用できると思っていましてね。彼は二つの例を挙げています。
 真の母親というのは、優しさだけではなくて、「優しさ」という中心と、「厳しさ」という二つの中心を持っていなかったらなれない。聖書がなぜ世界のベストセラーでずっと続いているかというと、新約と旧約という二つの中心を持っているからだと言うんですね。
 私は、自分のいままでの人生をずっと考えてきて、柔らかい中心と固い中心の両方が要るんじゃないかというふうに思っていて、これから育てようと思っています』(『宗教・いのち・国家』P77-78)

 そして柏木さんは、医学においては、「基礎と臨床」という二つの中心があって、どちらも大事だと説明しているのですね。
 これはおもしろい考え方だなと思いました。

 自分自身を見つめてみると、私は常々、「やわらかく、とんがりたい」と思っているんですね。要するに、自分の内に、「周囲の人と調和したい」という気持ちと、「自分の生き方を貫きたい」という一見矛盾するような気持ちがある。それを、うまくバランスさせて生きるということを、自分なりに日々心がけているわけです。状況に応じて、片方の要素を強めたり、弱めたりしながら。どちらも大事だと思いますので。
 また、私の場合は、学芸員という芸術作品をプロデュースする裏方の面と、自らが新しい創造を生み出していくというクリエイター(主体者)としての面、その両方を大切にしたい、それらは相互にいい影響を与え合えるはず、という期待があるのですね。そこにも、「表と裏」の二つの中心があると感じます。

 内村鑑三の場合は、信仰における「慈悲と審判」「愛と義(ただしさ)」について考えたり、海外でお世話になったユニティー教会に属する夫人から自分自身の独自の信仰を尊重してもらった体験から、「真理は二つの中心を持つ楕円」という考え方は、「これは自分の生活の実験から得た結論である」と語っているのですね。

 「楕円」という言い方がしっくりしなければ、「両輪」と言ってもいいかも知れません。
 信仰で言えば「求道と伝道」、研究者なら「探求と発表」というように、内に向かって深く掘り下げていく営みと、外に向かって広げていく営みという、一見、正反対あるいは矛盾した性質。それが、実は、互いに緊密に連関しているのですね。そこに注目するとき、両者(二つの中心)は別ものではなくて、一つの楕円の中に収まっている一体のもの、と言えるでしょう。

「まったく幾何学的に、二つはポツンと相並んでおるんじゃなくて、ちょっと自分が働き掛けたり、相手が今度は働きかけたり、大きくなったり、小さくなったりしながら、両者がある面で緊張、ある面では対話、そういう関係を積み重ねていく状況じゃないかと想像します」(鈴木範久・立教大学名誉教授)

 まだ内村鑑三の真意を深く正しくは分かっていないかも知れませんが、「自と他」の関係を深く考察し、複眼的にものを見られる人であったという気がします。その思想と信仰に興味が出てきましたので、ぜひ、今後、何かの資料をあたって学んでみたいと思いました。

 皆さまの心の持ち方の参考になれば幸いです。
 今日も、お元気で!


【参考資料】
○○『宗教・いのち・国家 島薗進対談集』(島薗進著、平凡社刊、2014年10月24日初版)
○「道をひらく 内村鑑三のことば④真理と寛容」NHK教育テレビ「こころの時代」(2013年7月21日)http://h-kishi.sakura.ne.jp/kokoro-610.htm

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