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2015年1月17日 (土)

心の中で他と生きるということ(2)

【今朝のごあいさつ 〜2015年1月17日】

 おはようございます。
 今朝も、昨日の話の続きです。
 島薗進さんと柳田邦男さんの対談は、「宗教と医療はどのように手を結べばよいか」というテーマで展開されていたのですが、ホスピスあるいは在宅介護という終末期医療についても少し触れています。
 柳田さんによると、終末期医療の現場では、「心をこめて、医療現場に働いている人とか、福祉活動をしている人たちは、いやでもおうでも苦悩する人に対応したら、どういうふうに何かを届けることができるのかについて悩む」というのですね。つまり、医師も看護師も、「個別性のある人間、さまざまな人生を歩んでいる人間とどう会話するか、どう心のケアをするかは、教育カリキュラムの中には入ってこない問題」だからです。
 そのため、「宗教と医学医療がどこかで手を結ばなくてはいけない」と医療フォーラムで問題提起をすると、全国からたくさんの参加者が集まり、そのうちの半数が看護師だったそうです。おそらく、医学や医療だけでは、終末期の心のケアまではできず、限界を感じているのでしょう。柳田さん曰く、「宗教心と直面せざるをえない、というのがいまの日本の状況だと思う」と。
 要するに、患者が尊厳ある最期を生きるために、医療現場で何ができるか、何を大切にしなければならないか、ということですね。
 私の場合は、20歳の時に、当時52歳だった父が胃がんを患いました。病院に行った時点ですでに末期で、内臓の各部に転移して手術もできない状態でした。すぐに入院し、治療を行ったのですが、相当な痛みが生じて苦しみました。私は奇跡を願って祈りましたし、「自分にできることは絵を描くことだ」と思って、若葉が生い茂る風景の中で父母が並んで微笑んでいる水彩画を描き、父を思って作った短歌2首とともに病室に届けました。
 父はとても喜んでくれたようで、「父の日に決意書くれし子は二十歳」という句を返してくれました。
 当時、わが家はクリーニング店を営んでいましたので、母と私は相談して、父が安心するように、休業せずに仕事を続けることにしました。母はもともと父と一緒に働いていましたので、アイロンがけなどの技術があり、私も以前から多少は手伝っていましたので、洗濯と配達を担当しました。私は美術大学に入学したばかりでしたので、勉強と家業を両立せねばならず、毎日、フル活動でした。
 そんな奮闘も及ばず、若かった父の病状の悪化は早く、わずか半年で別れの日が訪れました。父の親兄弟がみんな病室に集まりました。
 病床の父の意識が薄れていく中、母がいろいろ話しかけます。最後に母が「何か言いたいことないか?」と大きな声で呼びかけると、父が声にならない声で絞り出すように、「あ、り、が、と、う」と語ったのですね。その最期の父の言葉が、ずしりと私の心の奥底に入っていきました。
 それから半年ほどは、大きな喪失感に苛まれ、過食、胃の不調に悩まされたこともありましたが、ある日、『人生を支配する先祖供養』(谷口雅春著、日本教文社刊)を読んで、霊界の父のために、毎日、時間を決めて読経しようと思い立ち、実践しました。
 すると、2週間くらい経ったある日のこと、自分が読むお経を「父が聞いてくれている」という感じがしたのです。私の声の響きも、いつもとちょっと違う感じでした。それからですね、うれしくなり、私に明るさが戻ったのは。
 父の体はなくなったけれど、魂は生きている。私たち遺された家族を見守ってくれている、と思えるようになったのですね。
 それからは、オセロの全面に広がっていた黒が、一枚一枚白に変わっていくような感じで、生きることが喜びとなりました。
 家業を手伝っていることも、父がどれだけ喜んでくれているか、と思うとうれしくなり、目一杯、奨学金を借りてでも、大学を卒業したいと思うようになりました。
 そして一番大きかったのは、人間は死んでも死なない。何回も生まれ変わる、生き通しの生命(魂)だと心底わかり、一切のあせりがなくなったことです。それまでは、あれもしたい、これもしたい、でも、できない。と、時間がないことへの不満があったのですが、今世でやるべきことができればいい、と割り切れて、スカッとしました。
 そして、父は私の心の中で共に生きることになるのですが、その話は次回にしたいと思います。
 皆様、今日も、お元気で!

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