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2015年2月 7日 (土)

『魂にメスはいらない』を読んで(2)

【今朝のごあいさつ 〜2015年2月7日】

 おはようございます。
 昨日まで2連休でしたので、『魂にメスはいらない [ユング心理学講義]』の続きがだいぶ読めました。
 第三講の「癒えること創ること」が参考になりましたので少し紹介します。
 ユングの考え方は、「人間というのは、みんな生まれながらに言語を習得する能力を持っているように、生まれつき表象可能性を持っている」とします。それは親からの遺伝とは異なる性質のものです。
 例えば、ヘビや爬虫類のイメージは、心の中の暗いもやもやしたものを表現する時に、民族を問わず、人間に共通して出てくる。ただし、おもしろいことに、ヘビの場合はちょっと複雑で、いろんな神話に「再生のシンボル」というプラスのイメージとしても登場します。「脱皮」するからです。
 その一例として、心理療法の一つに、「箱庭療法(※)」というのがあって、学校に行けなかったある子供に、ある先生が箱庭を作らせていた。すると、その子が作るものがだんたん良くなっていき、良かったと思っていると、ある時、その子がヘビをパッと置いた。「うわぁ、また悪くなった」と悲観したら、その子が学校に行くようになったという実話があります。この場合は、「脱皮」の象徴としてのヘビだったのです。
 ユングは、(神話など)習ったわけでもないのに、人類に共通した表象(形)が心の内にあることを、表象可能性と呼びました。
 これを受けて、谷川俊太郎さんが、「われわれものをつくる人間の立場から言うと、表象可能性を持っているということは、あらゆる人間に芸術家になれる可能性がひそんでいることでもあると言えるような気がしますね」と語っています。
 要するに、芸術というのは、言葉にしろ、絵にしろ、形をかりて思いを象徴的に表現するものだからです。
 それに対して、河合隼雄さんは、次のように語ります。
ぼくはそう思っています。ぼくらは「治療」という言葉を使っているけれども、言うならば、その人のクリエーションを助ける職業だと思っているんです。ただ、クリエーションすることが商売になるかならないかというところだけが、芸術家と一般人の違いだと。本当に不思議なんですが、ぼくのところに来ている人の中には絵を描いたり詩をつくったりする人が非常に多くて、実際に展覧会に出したりしている人もいるくらいなんです。(同書、P136)
 この表象可能性を持っているから、絵画を見た時に、誰もが共感することができるし、こうした表現を通じたカウンセリングも成立するわけです。
 私も、絵を描いているときには気づかなかった自分の内面について、完成した作品を見て、初めて気づかされることが多々あります。何も考えないで、自分に心地よいと感じる色を塗っているときなど、まさにカラーセラピーを自分に対して行っているような、幸せを感じる時があります。まさに、癒やされているのですね。
 絵を描くという行為は、その意味でも、有り難く、幸せなことだと思います。ぜひ、たくさんの人に、その喜びを味わってほしいですね。
 今日も、お元気で!
(※)箱庭療法とは、クライエント(患者)が、砂の入った箱の中にミニチュア(おもちゃ)を置くことによって、言葉では伝えきれない自分の内面世界を表現し、それを深く体験することによって、症状を消失させたり、対人関係を改善させたりするという狙いを持った心理療法のこと。
【参考資料】
○河合隼雄、谷川俊太郎共著『魂にメスはいらない [ユング心理学講義]』(朝日出版社刊、1979年)

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