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2015年4月23日 (木)

『極限への挑戦者』を読んで(1)

【今朝のごあいさつ 〜2015年4月23日】
 おはようございます。
 これは今、私が夢中になって読んでいる本です。
 本書は、ラインホルト・メスナー(Reinhold Messner)という南チロル出身のドイツ人のロッククライマー(登山家)の自伝およびインタビューをまとめたものです。
 登山にとどまらず、北極、南極、砂漠を横断し、イエティ(雪男)をも探しているという冒険家です。が、本人曰く、あらゆる科学技術を駆使して地球上が調べ尽くされた今日において、もはや外部に「冒険」という言葉は存在しない、内なる“極限への挑戦者”でありたい、とのこと。
 実は、まだ読み始めたばかりなのですが、内容にグイグイ引き込まれます。
 それは、この人の生き方が、現代社会に一つの大きな問いかけをもらたしているからです。
 ロッククライミング(岸壁登攀:がんぺきとうはん)には、二通りあるといいます。一つは、酸素ボンベやボルトなどの道具を駆使して、安全に確実に登攀するタイプ。場合によっては、不安や心配を取り除くために薬物も使われます。もう一つは、フリークライミングで、ロープなどの最小限の道具と装備だけで登攀するもの。使った金具も持ち帰るクリーンクライミングとも呼ばれます。
 本書の著者メスナーは、後者です。
 「便利な道具に頼らない」というのは、それだけ自分自身を鍛えなければならないということです。想像しただけでも分かりますが、高所の岸壁や氷壁を登っている最中に体力が消耗して動けなくなったら即、死が訪れます。
 ですから、メスナーは、登攀する数カ月前からトレーニングを行います。1,000メートルをつま先立ちで歩いて足を鍛えたり、呼吸法を練習したり、1日のうち何回にも分けて飲料や食料を摂取するなど、実践的な訓練を重ねるのです。
 彼の基本的な考え方が、端的に紹介されている一節を紹介します。
「若い頃から、ずっと僕は思っていた。科学技術に依存しきってしまったら、人は、成長という可能性を発揮できず、感情や不安、自分のうちに秘めた能力を外へ解き放ってやることができないと。たとえば、僕は旅客機の到達高度9,000メートルまで上昇し、自らの能力を試みたことがある。医師の見解に対し、酸素ボンベや圧力の調整なしでも高所で生き延びる術(すべ)があるかどうか試したかったのだ。それを無事成し遂げたとき、僕は、想像がつかないほどの広がりを持つ、新たな扉が開かれたことを知った。大がかりな科学技術の力を借りなくとも、世界最高峰の数々、K2、エベレスト、ナンガ・パルバットに登れると思うと胸がいっぱいになった。そして、それが自分の人生哲学となった。地の果て、最後の原野の真っ只中で、自然を体感する。これが僕の心を惹いてやまない。そこで自分を表現し、自分を成長させるのだと」(同書P52-53)
 科学技術が発達し、どんどん便利に快適に楽になっていく社会の中で、ふと立ち止まり、「この技術を使うことで、はたして自分(たち)は本当に幸せになれるのか?」、と自らに問うことを忘れてはならないと思います。
 泥臭い、ワイルドな生き方が、無限につながる新しい世界を切り開いて見せてくれる。
 そんなワクワクした気持ちにさせてくれるのが本書です。
 今日も、どうぞ、お元気で!
 新しい一歩を踏み出しましょう。
【参考資料】
○ラインホルト・メスナー著、スラニー京子訳『極限への挑戦者』(東京新聞刊、2013年)
 
Main_weg20150423

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