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2015年8月 6日 (木)

通勤電車の中でよむ詩集

【今朝のごあいさつ 〜2015年8月6日】
 通勤電車の中でよむ詩集
 おはようございます。
 今朝も一冊の図書をご紹介します。
 『通勤電車の中でよむ詩集』(小池昌代編著)。まずタイトルがいいですね。思わず手にしたくなるような気軽さがあります。
 詩人でもある著者が、これまで「ほとんどの詩を、電車を待つプラットホームや乗車した電車の中で読んできたような気がする。電車のなかは、わたしにとって、詩の教室のようなものだった」という自身の経験と、詩に縁のない知人から、「通勤電車で読めるような詩があれば」と言われたことがきっかけで、生まれたタイトルです。
 洋の東西を問わず、著者がこれまで愛し、味わってきた41篇の詩が掲載された選集(アンソロジー)の趣きがあります。
 「朝の電車」「午後の電車」「夜の電車」という章の名付け方もいいです。ご想像の通り、カテゴリ内に収録されたそれぞれの詩の醸し出すイメージは、章名にふさわしいものでしょうが、どこかユルい分類なのが、かえって心地よい感じがします。
 「次の駅まで」と題した「はしがき」の中で、著者は、次のように語っています。
 詩を読むことは、詩を書くことと同じ、真に創造的なことである。創らなければ読むことはできない。
 だからこそ、詩を読むのは楽しい。詩を読む態度として必要なのは、その詩を理解しようとか解釈しようとか説明しようというものではなく、その一篇に、丸裸の心を投げ出し、その一篇と踊る用意があるかどうかという、それだけだ。(同書13ページ)
 ここに芸術作品を味わうときの核心的な態度があります。
 まさに一篇一篇の詩を愛する著者が、一種の解説とも感想ともいえる短文を、各詩の後に載せているのですが、それが実に詩を引き立て、理解を深めさせ、しびれさせる文章なのですね。
 参考までに、ひとつだけ次に紹介します。「見えない木」と題する田村隆一の詩を読んでの著者、小池さんの言葉です。
詩は、自然に内在する様々なリズムから、大きな力を得て書き起こされるのではないだろうか。例えば波。風のそよぎ。いま、森のなかに残されたのは、小動物の連続する足跡。詩人はそこに、明確で清々しい生のリズムを見る。この詩が刻むリズムそのもの。筋肉をつけた、「考える詩」だ。(同書79ページ)
 通勤電車の孤独の時間に、すべてを忘れて詩の世界に没入するひととき。
 それは、雄大で深い精神世界への旅。
 本書を手にした瞬間(とき)が旅立ちの時。
 今日も、お元気で!
【参考資料】
○小池昌代編著『通勤電車の中でよむ詩集』(NHK出版生活人新書、2009年)
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